top of page

サガン最後のアパルトマンが売り出し中

昨2016年Le Figaroに掲載されたフランソワーズ・サガンがパリで最後に暮らしたフォシュ街のアパルトマンが、最近売りに出されているのを見つけた。

http://proprietes.lefigaro.fr/actualite/lesprit-dun-lieu-romanesque-128864540/

フィガロで紹介された記事

私が見つけたのは2つの業者が出している情報。

サガンの家に間違いない。

ピアノはプレイエルのようである。

それは素晴らしい。

ここはスタインウェイでは合わない。

ピアノは良いが、内装や調度品の趣味は正直あまり良いとは思えない。

パトロンヌのアストリッドの趣味か?とサガン贔屓は考えてしまうが、案外サガンにはこうしたところはあるかもしれない。

(それにしても、映画に出てくるアストリッドの素性やその後どうしているのか、よくわからない。)

ピアノ・家具・美術品・調度品なども込みだとすれば、とってもお得である。

「でも、お高いんでしょおぅ?」

5,250,000ユーロである。

現在6億8千万円ほど。

2015年までにパリ市20区全域のアパルトマンの㎡単価平均がおおよそ1万ユーロ、坪単価にすると400万円ほどになっている、という記事があった。

坪400万円なら、東京都心住宅地の土地が買える。

集合住宅の坪単価平均が東京都心の地価に相当するのだから、いかにパリのアパルトマンが高いか、とてもわかり易い数字になっている。

山手線内程度のパリ市内に殆どの建物が6~7階建てぐらいまでで、歴史的景観保全のために容易に新築できないきまりなのだから、こうなる。

加えて、2016年にはイギリスのEU離脱=Brexitにより企業の流入やその見込みもあり、さらに本年2017年には外国籍の企業や人の受け入れに積極的なマクロン政権が誕生、議員選挙に大勝し、需給バランスはますます売り手市場に加速度的に傾きつつある。

パリのアパルトマンで一番人気は、19世紀オスマン様式の建築である。

セーヌ県知事ジョルジュ・オスマンの再開発計画で建築されたものである。

ニューヨークでも、1900年前後に竣工された物件が人気である。

新築は不人気だ。

ここが我が国と大きく違うところである。

日本では、15年で建物の価値がゼロになる。

15年!

たったの。

重量鉄骨コンクリートのマンションでも、30年で大規模補修か建て替えかということになる。

欧米では建物の価値が減らない、むしろその価値が上がっていくのだから、抵当となる資産評価は大きく、与信がそれに見合って大きいのだろう。

仕事に就いて程ない一般職が異常に高いパリのアパルトマンを買えるロジックである。

日本の住宅ローンの与信枠は、概ね年収5年分と聞く。

ところが、フランス人の話やブログによると、月収30万円足らずのマス層が小さいながらアパルトマンを買っている。

おそらくどこの国でも、インターネットの不動産情報は碌なものではない。

パリなら30㎡ぐらいまでのマス層が買えるものは殆ど奪い合いのようで、街の不動産屋で、あるいは銀行やノテールや何らかの繋がりの口コミ紹介などの段階で早い者勝ちで決まるのだろう。

ネット掲載される時点で売れ残りのようなもので、どこか問題のある、素直に相場通りの仕様のものは殆どないということになるのも自然なことだろう。

ところが、一般的なサラリーマンの生涯賃金を超えるような物件になると簡単には動かないようで、こうした高額物件には案外希少なものを見つける機会が僅かながらだがあるものだ。

パリ随一のプレステージ・ゾーンであるアヴェニュー・フォシュは、ロチルド(ロスチャイルド)家やオナシス(勿論ジャクリーンもここで暮らしたー短期ではあったが)など錚々たるお歴々の家がある、若しくはあった特別な通りである。

2017年パリマラソン、フィニッシュ後のフォシュ街。

パリマラソンでは、スタート前の荷物預け、そしてゴールがフォシュ街になっている。

改めて調べてみると、アルトゥール・ルービンシュタインやプリンスの家などもあったらしい。

パリ市内のアパルトマンが平均で坪400万と書いたが、フォシュ街の物件はその倍、坪800万円程度となる。

これも東京に当てはめれば、一等地の元麻布や南青山などの中でも希少な最高の「土地」が買える単価ということになる。

サガンがパリで最後に暮らしたフォシュ街のアパルトマン、どうやら特にサガン・プレミアムは付けられていないようで、坪単価にすると6万ユーロ弱の売り値である。

坪770万円程度。

下世話になってしまうが、実際かなりお買い得!である。

今の自分には残念ながら予算が「ちょっと」足りず、買えない。

買う方には注文を付けられる立場には無いが、、、

家具類をサザビーズでバラ売りするような投資家でなく、いやむしろクレバーな投資家なら良いかも知れない、フランソワーズ・サガンという20世紀の例外的奇跡の存在を理解してくださる方、サガンの生き様を愛してくださる方、できればサガン・ファンであって欲しい。

なるべくそのまま使って欲しい。

次に手放される時に買えるように、ひとまず貯金するか。

もっとも、サガンは「貯金する人は信用できません」と言ったらしい。

そういうところがいいんだな。

惚れ惚れする。


You Might Also Like:
bottom of page